• OKRについて

OKRに必要なエンゲージメントとは?

By : 高橋 和夫

投稿日 : 2020/03/27

更新日 : 2020/06/02

企業の目標を明確化し、部署やチーム全員の目指すべき方向を共有することができるOKR。その運用を軌道に乗せるためには、「エンゲージメント」という指標についても理解しておく必要があります。

英語で「約束」「契約」「婚約」「雇用」などの意味を持つ「エンゲージメント(engagement)」ですが、企業においては「企業と顧客」や「企業と従業員」の間の愛着や思い入れなど、繋がりを測る指標として解釈されています。

今回は「企業と従業員」にフォーカスを当てて、OKRがなぜエンゲージメントを高めるのに効果的なのかをご紹介します。

目次

1. OKRとエンゲージメントの繋がり
2. 業務で最も左右されるのはキモチ
3. なぜエンゲージメントが必要とされるのか
4. 日本の従業員エンゲージメントが最下位!?
5. 離職率と定着率の改善に向けて
6. エンゲージメントを上げる9つのポイント
7. エンゲージメント向上に欠かせない企業のMVV
6. まとめ

OKRとエンゲージメントの繋がり

近年、マネジメントのフレームワークとして注目されているOKRは、企業全体で掲げる目標に対してどの程度達成できたかを評価管理する手法です。
OKRを運用するメリットは多岐にわたりますが、企業の業績向上や組織・個人のパフォーマンス向上などとともに挙げられる大きな効果が、「エンゲージメント」の向上です。

企業・部署・従業員が同じ目標に向かって進むことで、従業員は自らの成長が企業の成長に繋がっていることを実感することができます。お互いの成長に貢献し合う大切な仲間として、同僚や部署、企業への愛着を持つこと、その指標が「エンゲージメント」です。

従業員エンゲージメントが高いほど会社は強くなる、とも言われるほど、企業にとっては絶対的に必要な要素なのです。


業務に最も左右されるのは、従業員のキモチ

成長を感じる場面は人それぞれですが、例えば、「やってみたい仕事を任された」「給料が上がった」「営業がうまくいった」など、自分の成長を実感してモチベーションが上がった場面は誰しも経験があるのではないでしょうか。

しかし、給与や役職といった「外発的動機づけ」と呼ばれる外部からの報酬は、必ずしもモチベーションの維持・向上に効果的ではないことが明らかになっています。報酬を受け取ることで、強制されている・コントロールされているという意識が強まり、逆にモチベーションが下がってしまう場合もあるというのです。

一方、「内発的動機づけ」と呼ばれるのが自分の内面から沸き起こる意欲や関心・興味といったキモチの部分。例えば「あの仕事をやってみたい」「お客様に喜んでほしい」といった意欲は、継続的にモチベーションを高めるのに効果的です。

つまり、業務を最も左右するのは給与や役職ではなく、従業員のキモチ。
やらされているという意識ではなく自ら望んで行動したくなるような意識を高めることが、エンゲージメント向上につながる、一番重要なポイントになります。そのため、OKR設定の際に頂点に掲げる「Objective(O):目標」は、従業員の「やってみたい!」という気持ちを刺激する、ワクワクするような言葉で表現する必要があるのです。


なぜエンゲージメントが必要とされるのか

日本でエンゲージメントが重要視されるようになった背景には、従来のように一社で定年まで働くという終身雇用だけでなく、転職やフリーランスといった多様な働き方が一般になってきたことが挙げられます。給与や昇進、福利厚生など、終身雇用制度で重要視されてきた報酬では、キャリアアップ・スキルアップを求める人材の流出を防げない現状があるのです。

そんな企業と従業員との新たな繋がりを構築するうえで取り入れられたのが、エンゲージメントの概念です。企業から従業員へ高額な報酬を支払ったり、従業員が企業のためにサービス残業したりといった一方通行の貢献ではなく、相互に貢献し合い成長していくことでエンゲージメントを高めることこそが、これから企業が優秀な人材を確保するために必要となっています。

それでは、自社のエンゲージメントはどうなんだろう?と気になっている方も多いかと思います。エンゲージメントを測定できる方法で最も一般的なのは、アンケートをとるという手法です。実際、アメリカを中心に人事分野で活用されていますが、最近では日本でも導入する企業が続々と増えてきています。ただ、エンゲージメントは企業と従業員との繋がりを測るものなので、「従業員満足度」ような個人にスポットを当てた測定とは異なるということを理解しておきましょう。


日本の従業員エンゲージメントが最下位!?

米国最大の調査会社としてその名を知られるギャラップ社が、世界のビジネスパーソンを調査し導き出した「Q12(キュー・トゥエルブ)」という12の質問。従業員のエンゲージメントを測ることができると言われ、それぞれ5点満点で回答します。その質問内容を紹介するので、あなたの企業にも活用してみてはいかがでしょうか。

「Q12(キュー・トゥエルブ)」

  • Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている
  • Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
  • Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
  • Q4:この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
  • Q5:上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
  • Q6:職場の誰かが自分の成長を促してくれる
  • Q7:職場で自分の意見が尊重されているようだ
  • Q8:会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
  • Q9:職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
  • Q10:職場に親友がいる
  • Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
  • Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった


実はこの調査で、日本では「熱意溢れる社員」の割合はわずか6%に留まるという衝撃の事実が明らかになりました。上位米国の32%という数字には程遠く、世界139ヶ国中、日本の順位は132位という最下位クラスとの結果となったのです。

従業員が組織に対する期待は、どの時代にも変わらず求められてきましたが、かつての高度経済成長期において、日本のエンゲージメントは世界レベルでみても非常に高かったと言われています。
その当時日本では、「欧米に追いつこう」「世界に通用するものを生み出そう」と、企業のみならず、官民一体となって立ち向かっていった経緯がありました。

大きな目標に向かって、団結していたその様は、「ジャパニーズ・エコノミック・ミラクル」と名付けられるほどの奇跡的な成功として、世界に日本企業の名を数々と浸透させていきました。


離職率と定着率の改善に向けて

近代の日本では少子高齢化や団塊世代の大量退職の影響を受け、人材不足が企業の課題として取り上げられるようになりました。そもそもは働き手が少ないというのが最大の要因ですが、個々人の小さな不満が積もり、離職や定着率といった問題として表れていることもまた事実です。
採用活動に力を入れたのに優秀な人材が定着しないとなると、企業にとっても大ダメージになります。

皆さんの会社では、従業員の本音をしっかり受け止めていますか?退職の理由にしっかり耳を傾けることができていますか?

従業員が会社を辞めようと判断するまでには、日頃の業務や生活における課題や考え方、目標を満たすことのできない何らかの問題が生じていると考えられます。これまでは、企業への不満としてもっとも多く挙げられていたのが「給与が低い」といった要因でしたが(エン・ジャパン – ユーザーアンケート2018調査より)、2019年ではこれに並び、「やりがい・達成感を感じない」が上位に浮上したのです。

(エン・ジャパン – ユーザーアンケート調査より)

従業員が会社に求める仕事に対する期待は、「やりがい・達成感」や「企業の将来性」など、金銭では解決できない部分が退職理由として高い割合で取り上げられているのです。もはや単純に「給与を上げる」「福利厚生をよくする」だけでは、定着率の悪化が防げなくなってきていることが分かります。

このように社員のエンゲージメントが低いと、会社への愛着を持つことが出来ず、会社を離れたくなる、いわば退職者を抑えきれないという現実が待っているのです。その他にも、社内でコミュニケーションが取りずらくなったり、自発的行動意欲が低下したり、ミスが発生にも繋がります。小さなミスは現場でカバーできても、結果として収益や信頼に響き、企業にとって悪循環に陥ってしまうのです。


エンゲージメントを上げる9つのポイント

エンゲージメントの重要性について十分お分かりいただけたと思いますが、エンゲージメントを挙げる上でのポイントとして、アトラエ社が9つのキードライバーを提唱しているので紹介します。算出方法としては、100点満点でスコア化されるというものです。

  • 職務‥‥‥‥職務に対する満足度
  • 自己成長‥‥仕事を通して、自分が成長できていると感じているか
  • 健康‥‥‥‥従業員が仕事の中で、過度なストレスや疲労を感じていないか
  • 支援‥‥‥‥上司や仕事仲間から、業務上又は自己成長の支援を受けているのか
  • 人間関係‥‥上司や仕事仲間と良好な関係を築けているのか
  • 承認‥‥‥‥周りの従業員から認められていると感じているか
  • 理念戦略‥‥企業の理念・戦略・事業内容に対して納得・共感しているか
  • 組織風土‥‥企業の組織風土が従業員にとって良い状態なのか
  • 環境‥‥‥‥給与、福利厚生、職場環境といった従業員を取り巻く会社環境に満足しているのか
  • (書籍「組織の未来はエンゲージメントで決まる」より)

  • これらの9つのドライバーが影響し合ってエンゲージメントが確立されると言われています。ドライバーの結果に重点を置き、より強い組織にするためのエンゲージメントについて、今一度考えてみてはいかがでしょうか?


エンゲージメント向上に欠かせない企業のMVV

OKRの機能には、エンゲージメントを高めることも大いに期待できます。

ここ最近では、「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」を掲げる企業も増えてきました。企業が存在するべき使命(ミッション)と、目指すべき目標やあるべき姿(ビジョン)、価値観や強み(バリュー)は、企業の将来を左右するものとして重要で、それが浸透すれば、従業員1人1人がブレることなく目標の達成にスピードをもって到達できると言われています。
しかし、これを掲げるだけでは未完成。MVVを浸透することは単純なものではありません。

OKRを運用していくことで、「チームの結束力」「組織目標の一致」が確立され、責任感や安心感が自然と芽生えるようになっていきます。
OKRの活用は、組織の浸透を促し実現を可能にする近道になるはずです。


まとめ

企業と従業員が一つの目標達成のために貢献し合い、エンゲージメントを高める手法として取り入れられるOKRは、いま、日本でも多くの企業で注目されています。

OKRがもたらすエンゲージメントは、給与や待遇では測ることのできない、従業員のキモチに働きかける重要な役割を担っています。エンゲージメントを強化をすることは、経営力の基盤を固めることにも直結するのです。

生産性を高めたい、離職率を改善したい、企業や部署内のコミュニケーションが足ない、等の課題を抱えているなら、OKRを実践することが、大きな第一歩となることは間違いないでしょう。

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