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OKRとは?Googleも導入する目標管理手法のメリットや特徴など

By : 高橋 和夫

投稿日 : 2020/06/08

更新日 : 2020/08/07

OKRとは?

OKRとは、GoogleやFacebook、日本ではメルカリなどのITベンチャー企業がこぞって導入し、飛躍的な成長を遂げる原動力になっている革新的な目標管理手法です。

Objective(目標)とKey Results(目標達成のための主要な結果)の略称で、アメリカのインテル社で生まれ、2000年代にジョン・ドーアが当時の出資先であったGoogleに持ち込み、導入後圧倒的成果を出したことでその名が知られるようになりました。
Googleでは、現在でも組織・従業員の目標管理にOKRが採用されており、数々のイノベーションや目覚ましい事業成長を成し遂げた理由の一つとして考えられています。

OKRは、飛躍的な成長や革新的なイノベーションを生み出したいという背景から、ITを中心としたベンチャー企業に導入が進んでいます。

目次

OKRを分かりやすく説明すると

簡単に言うと、OKRは、チームメンバーを同じ目標に導くためのマネジメント手法と言えます。
例を挙げると、サッカーのような団体競技が近いと言えます。サッカーは、選手全員が協力しあいながら相手チームより1点でも多く得点し勝利することが競技者全員のゴールです。
勝利するため、ミッドフィルダーはフォワードが得点しやすいようなパスを供給することがミッションになりますし、ディフェンダーは相手側の得点を防ぎ攻撃に転じやすくする動きが任務となります。それぞれの立場や役割は違っても、刻々と変化する戦況を制するため、ピッチ上でコミュニケーションを取りあい、密に連携し目標達成を目指すような管理手法をOKRと呼びます。

OKRの5つの特徴

OKRの特徴は、主に以下の5つです。

  • 1.達成率が60〜70%ほどの困難な目標(Objective)を設定すること
  • 2.人事評価に直結させないこと
  • 3.目標をオープンにすること
  • 4.組織の目標から個人の目標まで繋がっていること
  • 5.目標期間を、3ヶ月1サイクルとすること

OKRを導入する際には、基本の5つのポイントを注意して、OKRを設計するようにしていきます。
もしあなたの会社が、MBO型の目標管理制度を導入している場合、あまりの特徴の違いから困惑してしまうかもしれませんが、一つひとつ分解して見ていきましょう。

1.達成率が60〜70%ほどの困難な目標(Objective)を設定すること

困難な目標を設定することを、OKRの世界では、ムーンショットを設定すると呼んでいます。
目標期間が終了した時点で、スイートスポットの範囲(達成率60〜70%)に到達することで成功とみなすように難易度を設定します。

ムーンショットとは、1961年にケネディが発表した「アポロ計画」から端を発した言葉で、到達したい未来のビジョンから逆算して段階的にいくつかの目標を設定することを意味します。

ムーンショットを設定すると以下のようなメリットがあります。

  • 高い目標を達成する思考になる
  • 壮大な目標は魅力的に映りやる気を与える
  • 一体感が生まれやすい

OKRは、このムーンショットによって得られるメリットを、組織マネジメントにおいて最大限活用し運用していくことが重要です。

また、ムーンショットの反対の意味で使われる言葉にルーフショットがあります。
ルーフショットは、日本語に訳すと「屋根に届くショット」という意味で、ちょっと努力すれば目標が叶うレベルのものを指します。
ルーフショットは100%達成を成功とみなすため、MBO型の目標管理制度で用いられます。

2.人事評価に直結させないこと

目標管理制度なのに人事評価には利用しないと書くと驚かれるかもしれませんが、OKRでは、目標達成率が給与や昇格などの人事評価に直結することを避けるよう運用するのが望ましいと言われています。
その理由は、人事評価と直結させることで以下のデメリットを発生させると考えられているからです。

  • ムーンショットではなく達成可能な目標を立てる
  • 進捗や目標をオープンにするのが難しくなる
  • 協力し合う組織づくりが損なわれる

3.目標をオープンにすること

OKRやMBOなど目標管理の種類に限らず、目標を公開しないことで様々な弊害が組織に生まれると言われています。

社員目線で考えると、隣の人がどんな目標で何をやっているのか分からない環境だと、自分のことにしか興味がなくなってきますし、同僚をサポートしたくても支援のしようがありません。
また協力体制が生まれにくくなると、シナジー効果も期待できず、従業員数以上の生産性を期待するのが難しくなります。

さらに、関わる人達の目標が不透明な場合、組織やチームの全体像が見えづらく、自分が担う役割や仕事の意義を見出すことが困難なため、何のために目標を追いかけてるのか納得感を感じづらくなってしまいます。

4.組織から個人の目標まで繋がっていること

前項で述べたように、コラボレーションによる生産性向上や、エンゲージメント低下の防止のため、目標を公開することが重要なポイントですが、OKRの場合、視覚的に分かりやすいよう、ツリー構造にして公開することがスタンダードになっています。

 

この図のように、上位からチーム、個人までどのように目標が降りてきているのか関係性を確認することで、会社やチームの目標理解に結びつきます。

5.OKR期間を、3ヶ月1サイクルとすること

従来の目標管理MBOでは、目標期間を1年か6ヶ月とするのがスタンダードでしたが、OKRの場合は3ヶ月としています。期間を短くすることで、環境や状況の変化に対応しやすいというメリットがあるからです。

情報化社会の現代は、VUCAの時代と呼ばれ、テクノロジーの進化により市場や環境の変化が早く、未来の予測が困難な時代だと言われていますので、外部環境の変化は頻繁に生じます。
また起業したての会社であれば、毎日のように変化が起こりますので当初立てた目標を変更せざるを得ないという状況が発生しやすくなります。

これを踏まえ、短いサイクルで振り返りを行い目標やKey Resultsを見直すために、目標期間を3ヶ月という短い期間で設定することを良しとしています。

OKR導入のメリット・効果

OKRを導入することで得られるメリットをご紹介します。

会社全体で高い目標に挑戦できる

OKRでは、目標の達成水準が60〜70%になる難しい目標を、会社からチーム、個人に至るまで設定するため、社員一人ひとりが失敗を恐れずに挑戦するチャレンジャー精神を育むことができます。
さらに、高い目標を達成するため、これまでより一段回高い思考レベルが求められるようになるため、能力開発にも効果を期待できます。

また、チームでPDCAを繰り返しながらOKRを運用していくと、目標達成のための能力も底上げされていき、困難な目標であっても次第に達成に近づくようになり、組織全体で大きな成果を上げやすくなります。

社員のエンゲージメント向上に繋がる

エンゲージメントとは、仕事に対してポジティブに取り組むことのできる心理的状態のことを指します。OKRには、会社がどこに向かおうとしていて、なぜこの目標が設定されたのかを社員に示しやすい特徴があります。
全体の方向性や目的を把握した上で、自分に期待される役割を理解することで、自分が何のためにこの組織にいるのか目的が明確になり、組織への帰属意識を高める効果が期待できます。

なぜOKRがエンゲージメントを高める上で効果的なのかは下記の記事を参考にしてみてください。
👉 OKRに必要なエンゲージメントとは?

社員間のコラボレーションを促進し生産性を向上できる

チームや個人の目標が公開されるOKRでは、他のメンバーがどんなミッションを持ち、どんな仕事をしているのか把握できるため、上司と部下だけでなく横のコミュニケーションも活性化する効果を期待できます。

例えば、会社全体の目標が、「新規顧客を増やし売上を上げる」とした場合、マーケティングチームのAさんには「新規リード客を増やすためのHP改善」のKRが割り振られ、インサイドセールスチームBさんには「リード客のうち◯件見込み客へ引き上げる」のKRが割り振られたとします。
AさんとBさんはチームが異なっても、上位の目標は同じです。仮に、AさんがHP改善を行ってリード客を多く増やしたとしても、ターゲットでないリード客を多く獲得しているのであれば、Bさんの見込み客へ引き上げる目標達成は難しくなります。

Bさんの目標を達成し、かつ上位目標を成し遂げるためには、BさんがAさんに現状の課題を話した上で、双方が解決のために協力し合う建設的なコミュニケーションが重要になりますが、上位の目標が二人とも別々であったり、公開されていないと、「マーケチームの目標は別なので協力できません」とか「個人目標達成してるので問題ないです」と非協力的な結論に至ってしまう可能性が出てきます。

このようなことを防ぐために、全体の繋がりが把握できるような目標全体の可視化・共有と、
コミュニケーションを頻繁に取り合える会議体の設計に気をつけるべきででしょう。

OKRの代表的な会議には、チェックインミーティングやウィンセッションミーティングがあります。これらをうまく用いて積極的に情報共有を行いましょう。
👉 チェックインMTGとは

OKR設定方法

ここではOKRのスタンダードな設定方法を、大まかな流れに沿って説明します。
OKRの設定方法について、より詳しく本格的に知りたい方は、以下のページをご覧ください。
OKRがスムーズに浸透するように企業の文化に合わせてアレンジするのが良いと思います。

企業OKRの設定

まずは最上位の目標となる会社のObjectiveを作成します。
5年後、10年後に会社がどのビジョンに到達していたいのか逆算して直近一年、半年、3ヶ月のObjectiveを設定します。目標ができたら、目標を達成するための成果指標を決めます。
会社OKRを作る上での注意点は以下の3つです。

  • 目標の数は、力を分散させないために1つか2つまでにする
  • Objectiveは、ワクワクするようなワーディングが重要
  • 成果指標のKRにはトラッキングできるように数字を入れる

部署・チームOKRの設定

会社のOKRを作成しても、KRは完成の状態にせず、チームを率いるマネージャーとの意思疎通を経て確定とします。会社のKRは、イコール部署のObjectiveになりますので、部署の目標の方向性は会社のトップや経営陣が決めてしまい、その結果を部長やマネージャーに共有し、議論をもとに達成水準の修正や軌道修正を行いながら確定します。
この作業は、アライメントとも呼ばれ、目標のコミットメントを高めるためにも重要なコミュニケーションです。
アライメントとは、調整という意味で、組織の全員が同じ目的に向かって進むように整えることを意味します。

個人OKRの設定

チームOKRを作る流れと変わりません。個人のObjectiveは、チームのKRになりますので、マネージャーと個人とで相談しながら個人OKRを設定していきます。
注意すべきなのが、個人KRの数が、5つ以上にならないようにすることです。KRを5つ以上持つというのは、負担する指標の重さにも寄りますが、一般的には多すぎるため、力が分散したり、いずれかのKRが全く進捗なしという状況が起こりえます。
KRは理想は3つ、多くても5つ以内に収めましょう。

OKR例

最も有名なOKRの事例を紹介します。アメリカのインテル社が、1980年代に実施したOKR、別名「クラッシュ作戦」は、ジョン・ドーアの書いた本『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』でも触れられてる通り、とても有名な事例です。
1979年、インテルは主軸事業であったマイクロプロセッサ事業において。日本企業やベンチャー企業の快進撃を受け続け、もはやシェアを覆すのが困難な状況にありました。
追い込まれたインテルは、起死回生のため、従業員2,000人のうち約半数以上を動員して、最も重要な目標にフォーカスするように決定します。
クラッシュ作戦で立てられたOKRは以下の通りです。

<インテルの全社OKR>

全社Objective:「8086」を業界最高性能の16ビット・マイクロプロセッサ・ファミリーにする。
KR01:「8086」ファミリーの性能の優位性を示すベンチマークを5つ開発し、公表する
(担当:アプリケーション)
KR02:「8086」ファミリーの全製品をリリースし直す
(担当:マーケティング)
KR03:8MHz版の製造を開始する
(担当:技術、製造)
KR04:演算コプロセッサのサンプルを遅くとも6月15日までに製作する
(担当:技術、)


<技術部門のOKR>

Objective:5月30日までに8MHz版500個をCGWに届ける。
KR01:4月5日までに最終版をフォトプロットにする
KR02:4月9日までに「Rev2.3」マスクを工場に届ける
KR03:5月15日までにテストテープを完了する
KR04:遅くとも5月1日までに工場のレッドタグを開始する

 

このOKRを設定してから数年後の1986年、インテルはマイクロプロセッサ市場の85%ものシェアを収めるほどに逆転を成し遂げたのです。

OKRの事例をもっと知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

👉参考にしたい!本場アメリカのOKR事例5選
👉9つの職種で見るOKR事例集


OKRとMBO・KPIの違い

OKR以外の目標管理のフレームワークには、経営の神様と呼ばれるピーター・ドラッカーが提唱したMBO(Management By Objective)と、業績を評価する上であらゆる指標を定量化して観測していくKPI(Key Performance Indicators)が有名です。
OKRが、旧来の目標管理制度のMBO、KPIとどのような違いがあるのか、解説します。

  OKR MBO KPI
目的 経営戦略・事業戦略の実行 人事評価制度 事業戦略の実行
サイクル期間 3ヶ月×4回 1年または6ヶ月×2回 決まりなし
レビュー頻度 毎週または隔週 1年または6ヶ月おき 毎週または隔週
共有範囲  全社  限定的(上司と部下、人事)  同チームメンバー
達成水準  60〜70%  100% 100%

目標管理として日本で一般的なMBOは、目標の達成度合いによって従業員をA、B、Cとスコアリングしていく評価手法です。目標とその達成度合いは従業員の昇給昇格のために活用されるものなので、報酬が変更される一年に一度または半年毎に振り返りや目標設定するのが一般的です。

KPIは、OKRが現れる前から、業績の進捗を測る管理手法として多くの企業で導入されています。KPIは主に、目標に対して進捗が順調かどうかを測定するために使われるコンパスのような存在であるのに対し、OKRは目標の乖離を埋めるためのギャップや、目標達成するためのプロセスを共有し合ったり話し合ったりするフレームワークであると言えます。


OKRとKPI、MBOの違いをもっと詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。
【徹底比較】OKR、MBO、KPIそれぞれの違いとは?

OKRを学習できる本

bantoおすすめの、OKRについて学べる本をピックアップします。
OKR導入を検討している経営者の方から部長さん、人事担当者の方はチェックしてみてください。

Measure What Matters(メジャー・ホワット・マターズ) 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR

 

ジョン・ドーア (著), ラリー・ペイジ (著), 土方奈美 (翻訳)

ジョン・ドーア氏が投資先であったGoogleにOKR導入を勧めた結果、Googleでは次々にムーンショットを実現させていく。そんなサクセスストーリーが具体的な事例を元に綴られています。

👇こんな人におすすめ
・OKRを追求したい方
・マネジメント経験のある方

OKR(オーケーアール)

 

クリスティーナ・ウォドキー (著), 二木 夢子 (翻訳), 及川卓也 (監修)

OKRといえばこの本を真っ先に思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?日本にOKRを定着させるきっかけとなった非常に貴重な一冊です。

👇こんな人におすすめ
・OKR初心者の方
・デファクトスタンダードな知識を得たい方

本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR

 

奥田和広 (著)

関西地区でOKRのコンサルティングを専業にされているタバネルの奥田氏が執筆した一冊。

なんとAmazon Unlimited会員は無料で読めてしまうので
まずはこちらの本からOKRを学んでみるというのもおすすめ。

👇こんな人におすすめ
・OKR初心者の方
・Amazon Kindle Unlimitedで無料で読みたい方

 

こちらのページで詳しく紹介していますので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。
👉 OKRを学べる本|おすすめ書籍5選

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